2023年11月
Multiverse Society Japan 委託管理責任者
浦野 幸
私たちが目指していることは、世の中のすべての人が、心豊かに「幸せ」に暮らしていける社会をつくることです。
“わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより、世の中を少しなりともよくして往こうではないか” - 内村鑑三「後世への最大遺物」
人はだれしも、幸せな人生を送りたいと願います。しかし、自分にとっての「幸せ」を自覚したり理想とする生き方に従って行動し続けることは、とても難しいことです。なぜならば、人間の特性である「認知の限界」のため、さらには複雑化・高度化した社会のため、日々の生活の中で常に目的に沿った判断をしていくことは不可能であるからです。ゲーム理論における「囚人のジレンマ」は、人間が最大の幸せに向かうことの難しさを、シンプルに表現していると言えるでしょう。
そのため、先端研究やIT技術を駆使して、人の判断・意志決定をサポートする仕組みを構築することは、現代における最重要テーマの一つといえます。とはいえ、個人・集団にとっての「社会的現実」は、人々の認識や取り巻く周囲の環境によって影響されるため、同じ事象に対する現実は無数に存在するなど、これもまた一筋縄の話ではありません。
構築にあたっては、生命科学や社会システム論による事象をベースとした分析に加え、アクターネットワーク、哲学の発生にまで踏み込んだシステムが重要になり、このシステムを通した社会運用ができるかどうかが、幸福度の高い社会を実現する鍵になると考えています。
もしも、その社会が実現すれば、人の気持ちと行動とが概ね一致するようになり、”自発的な生”を生きているという感触を持てるようになります。各人が”自発的な生”を生きることは最終的に宇宙(という自ら成長を求め続ける生命体)の進歩に結びつき、そこに存在する人々の幸せを更に高く押し上げていくことでしょう。そのとき、自分は宇宙の一部であり、宇宙そのものが自分自身であるという認識を、多くの人が持てるようになり、人びとが相互の義務と権利を認めながら、共に作り上げていく社会実現に、一歩近づくかもしれません。
日本には、華道・剣道など、人の感性や価値観、自然の摂理を細やかに捕捉・尊重しながら、その上でバランスの取れた一つの体系を築き上げる文化があります。そんな世界観を持った社会システムを実在化することが、私たちの目標です。どこまでも響き渡る物語(Ever Storia)に溢れた世界を。
“永遠に向かって押し寄せる波濤のうねりの中に、喜びと美しさが存している。何ゆえにその心をくまないのであるか、また列子のごとく風そのものに御しないのであるか” - 岡倉天心「茶の本」
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